今回は、オフライン作業(間接作業)について考えてみます。
原則として、加工時間は機械加工の所要時間を基にします。
それ以外の作業を間接作業と位置づけ、別で算出します。
部品の製造原価に、どのように反映さればいいのでしょうか。
だいたいこのくらい、という値付けが一般的ではないかと思います。
それでもなお、作業工程について、細かな分析も必要です。
一つの例として、ヘリサート挿入をとりあげてみます。
部品製造原価を考える際の参考になれば幸いです。
ヘリサート挿入工程
あらためてヘリサートについて、簡単に説明しておきます。
これはメネジを強化するために挿入するコイルです。
アルミ、樹脂など、主にやわらかい材質に対して施されます。
専用タップで加工したのち、手作業でコイルを挿入します。
加工者による手作業の部分だけを抜き出してみます。
- コイルを挿入する
- タングを折る
- 折ったタング回収と確認
- ボルト通し確認
一か所の加工時間そのものは大したことはありません。
未経験の方でも、比較的短時間でできるようにはなります。
数十個やれば、おおよそ慣れてしまうといえばそうです。
ただし部品製造の一工程ですので、品質を意識せねばなりません。
確認作業までできて、はじめて習得できたと言うことができます。
では、簡単な作業だからサービスの一環なのだろうか?
コイルの部品代とわずかな工賃をもらえばそれでいいのか?
安易に考えないほうがいいように思います。
付随する、面倒な作業
ヘリサート挿入に付随する、面倒な作業を挙げてみます。
いずれも私が作業して直面したことばかりです。
- プレート側面など、挿入しづらい箇所にある
- はみ出し防止のためにコイルを切断する
- M4など小径の止まり穴
組み立て式ブラケットに使う三角形のリブなどは結構手こずります。
挿入時、穴のある端面と挿入機は垂直にせねばなりません。
にもかかわらずテーパーになので、側面への加工は面倒です。
ずれた状態で作業を開始すると、曲がって入り、やり直しとなります。
バイスで固定するのですが、真っすぐであることをよく確認します。
厚さ9ミリのプレートに、長さ10ミリのコイルは挿入できません。
そういう場合、一巻きくらいコイルを切断して挿入します。
ただペンチで切ればいい、というほど簡単ではありません。
切った先が荒れていれば、ネジ飛びの原因となります。
砥石で先端を滑らかに整えてから、挿入作業を行います。
止まり穴小径ネジへの挿入と、タング折りも容易ではありません。
完成品検査で、必ずと言っていいほど不具合を検出しています。
一部品あたりの加工箇所が多いものほど、確認漏れが生じます。
タングが完全に折れず、奥に残留している例がかなり多いです。
穴の奥に詰まったものを取り出すのは、挿入より時間が掛かります。
これら少し特殊な作業をどう捉えるのか、各社の考え方次第です。
余分な作業時間が掛かっているわけで、無視してもいいものかどうか。
まとめ
ヘリサート挿入を例に、オフライン作業の内訳分析をしてみました。
現状どんな手順を基に進め、どのくらい時間が掛かっているのか。
本来いただくべき工賃が、無償サービスになっているかもしれません。
もちろん誰もタダでやってくれるわけではないのです。
反対に作業の無駄が放置されている可能性もあります。
気付くことで対策を打てれば、生産性向上につながります。
