一品加工メーカーの生産性を考える7 ~向上心のある加工者の人件費

今回は、加工者の人件費について考えてみます。
上昇志向を持つ優秀な人材をどのように活用すべきか。
一筋縄ではいかない、難しい問題が横たわっています。

残念ながら、昔ほど儲かる業界ではなくなっています。
かつては、何でも一から製作していました。
近年、6面フライス材料、機械要素部品が充実してきました。
そのため、確実に一品加工メーカーの仕事は減っていまがす。
追い打ちをかけるように、部品単価は下がり続ける一方です。

腕のある加工者を雇うべきか

以前、取引先に腕のある旋盤加工者がいました。
若いながらも、難しい加工をいとも簡単にやり遂げました。

その彼、現在は別な仕事で、持ち前の器用さを発揮しています。
切削加工の仕事は好きだけど、儲からないからだと言いました。
職場責任者は一度、一緒にやらないかと誘いました。
すると、『月〇〇万円くれれば考える』と高額を提示しました。
現状の受注量と部品単価から、採算が合わないと判断しました。

この話には、ちょっと考えされられました。
残念ながら下請部品メーカー勤務では、高給を得ることができません。

労働分配率の観点から考える

この件、労働分配率という観点から説明することができます。
どの会社も、受注量と利益率から、人件費の上限が決まります。
昇給も人員増強も、その枠内で行うことになります。

仮に一時忙しくなったとしても、安易に人員増強はできません。
残業するなどして、その場をしのぐより他ないということです。
まして私のような、間接人員に対する分配など後回しになりがちです。
規模が小さくなるほどに、品質や検査業務に人を割くのが困難です。
業務に見合う対価なくして、製造以外の人員を置けないのが実情です。

生産活動に直接かかわる、優秀な加工者であればどうか。
利益率が高い仕事があれば、高給の支払いも可能です。
逆に受注で苦しむ状況下であれば、支払える額も減るのは必定。
と考えると、くだんの器用な彼は、経営側としては使いづらいです。

中小零細メーカーのとるべき道

中小零細の部品メーカーが取るべき道は二つに一つです。
優秀な人材を抱え、付加価値の高い受注獲得を目指すのか。
さもなくば、安い人材を育成し、戦力化していくのか。

どんな分野でも優秀な人材は上昇志向が強いものです。
腕に覚えアリと言うのなら、高給を求めるでしょう。
承知で雇うというのなら、一つの方針だと思います。

そうでないならば、現実的な策を取るより他ありません。
言葉は悪いですが、歩を成金にするべく指導することです。
物覚えが悪くとも、愚直で真面目な人間を大事にすること。
むしろ、一品加工部品製造にはコツコツ型が向いています。

ただし育成コストをケチるならば、すべてがうまくいかなくなります。
人件費も教育コストも払いたくない、安い即戦力がほしい。
それでいて生産性を上げようなど、夢のまた夢。

まとめ

上昇志向のある人材は大手に行くのか独立するのか。
どちらかになろうかと思います。

中小零細メーカーはおかしな理想を捨て、現実的に考えること。
まだ開花していない、愚直でコツコツタイプを大事にするのがいい。
お金は払いたくない、それでいてスーパーマンの活躍をしてほしい。
そんな虫のいい話はありません。

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